胚盤胞まで育たない原因と改善
2024年10月16日
【この記事でわかること】
- 胚盤胞まで育たない原因とその対策
- 胚の成長を助ける生活習慣と食事
- 年齢による影響と体外受精成功率の現実
この記事では、「受精卵が胚盤胞まで育たないのはなぜか?」という疑問に対し、主な原因とその改善策について詳しく解説しています。
何度も採卵・受精しても胚の成長が止まってしまう方や、原因がはっきりしないまま繰り返す体外受精に悩んでいる方に特におすすめです。
結論としては、胚盤胞に育たない背景には精子・卵子の質、遺伝的要因、生活習慣などが複雑に絡んでいますが、食事や体調管理の見直しにより改善の可能性があるということです。
本文中には、年代別の到達率や体験談、妊娠力を高める食材なども解説していますので、ぜひ最後までご覧ください!
目次
胚盤胞について

胚盤胞とは
胚盤胞とは、受精後5~6日目まで成長した胚のことをいいます。
胚盤胞まで育たない
その胚盤胞まで育たない原因として、男性不妊(質の低い精子)や卵子の質が低い、遺伝的要因、受精後の胚の発育環境、生活習慣などに関係していることが多いです。
受精卵が育たない(胚盤胞まで育たない)原因

胚盤胞まで育たない原因① 精子や卵子の質が悪い
まず、精子や卵子の質が低いと、異常受精や細胞分裂の停止が起こり、胚盤胞まで育たない可能性があります。
胚盤胞まで育たない精子や卵子の質が悪くなる主な原因は、加齢による細胞の老化と酸化ストレスです。
精子や卵子の質は年齢と共に低下する為、年齢が若い方が胚盤胞まで育ちやすくなります。
胚盤胞まで育たない原因② 遺伝的要因(染色体異常)
遺伝的要因については、染色体異常が胚発育に影響を与えることが知られています。これは、胚盤胞へ育たない原因の一つとして考えられ、遺伝子診断の重要性が高まっています。
胚盤胞まで育たない原因③ 受精後の胚の発育環境・生活習慣
受精卵が胚盤胞へと発育する過程は、植物が適切な土壌と環境で成長するのに似ています。適切な栄養とケアが必要です。
そのため、健康的な胚の発育に影響する生活習慣の改善が重要となります。
『バランスの摂れた食事・十分な睡眠・適度な運動・ストレス管理』を意識して、胚盤胞の健全な発育環境を整え、胚盤胞まで育たない環境を改善しましょう。
胚盤胞まで育たない30代、40代
30代で培養した胚のうち、受精卵が胚盤胞まで育つ確率は約40%、40代では約20%というデータがあります。
このように、胚盤胞まで育たないのは、「高齢」というのも一つの原因になってしまいます。
胚盤胞まで育った受精卵は、出産まで至る可能性がより高いと言われています。
また、年を重ねると、子宮内膜症や子宮筋腫などの婦人科疾患の頻度も増加します。
これらは慢性的な炎症や子宮の筋肉の異常な動き、子宮内腔の変形などを起こし、着床に影響を及ぼして、妊娠率の低下につながります。
→体験談:①
30代半ばで体外受精に挑戦したAさんは、最初の採卵で3個の受精卵ができたものの、どれも胚盤胞まで育ちませんでした。落ち込む中で医師から「食事と生活習慣の見直しを」と助言され、毎日の食事を見直し、ウォーキングや睡眠改善にも取り組みました。3カ月後の再挑戦では、1つの受精卵が無事に胚盤胞まで育ち、移植・着床へと進めたそうです。
→体験談:②
40代前半のBさんは、繰り返し胚が途中で止まり、胚盤胞に到達しない状況が続いていました。検査の結果、精子の運動率が低く、酸化ストレスの影響が疑われました。ご夫婦でサプリメントの摂取や禁煙・禁酒を徹底し、生活習慣を見直した結果、次の周期で初めて胚盤胞が確認されました。「夫婦で取り組むことが鍵だった」と話しています。
体外受精で胚が育たない

体外受精で胚が育たない原因には、次のようなものがあります。
- 子宮の形に異常がある
- 染色体数や構造に異常がある
- 子宮内膜ポリープなどの着床障害の原因がある
- 栄養摂取が不十分である
- ホルモンバランスが崩れている
- 免疫に異常反応が起こっている
こちらも生活習慣の改善を積極的に行うことで、体外受精が成功する可能性を高めることができるでしょう。
バランスの摂れた食事・ストレス管理・喫煙や過度のアルコール摂取を避け、最新の医療情報の収集と適切な選択を心がけましょう。
卵胞が育たない時の改善させる食べ物

卵胞を育てるために、栄養バランスを考えた食事や生活習慣の改善が大切です。妊娠力を高める食べ物を積極的に摂取していきましょう。
- タンパク質:魚、鶏肉、豆類、ナッツ類、大豆製品など
- ビタミンD:きのこ類、魚肉(マグロ、鮭、鯖等)、卵黄など
- オメガ3脂肪酸:イワシやサバなどの青魚や、くるみ、アマニ、エゴマなど
関連記事:胚盤胞のグレードは妊娠に関係ない?
関連記事:採卵数と胚盤胞になる確率(20代、30代、40代)
【よくある質問】胚盤胞まで育たない原因と改善

Q1:40代でなぜ“胚盤胞まで育たない”ことが起こるの?
A1:40代になると、卵子の数(卵巣予備能)が減ったり、卵子の質(染色体の正常さやミトコンドリア機能)が低下したりします。
たとえば、卵子・胚の能力が加齢で下がることが報告されています。その結果、受精しても胚が十分に分割・発育できず、胚盤胞段階(5〜6日目)まで進まないことがあります。
参考文献:Impact of Maternal Age on Oocyte and Embryo Competence
Q2:胚盤胞まで育たないとき、どんな原因が考えられるの?
A2:主な原因としては、
- 染色体数が合っていない(「異数体」)こと
- 卵子/受精卵のエネルギー源であるミトコンドリアの役割が低下
- 培養環境(培養液・温度・酸素など)が最適でないこと
があります。これらが重なることで、胚が途中で止まってしまうケースがあります。
参考文献:Study Finds Why Many IVF Embryos Fail to Develop
Q3:40代で胚盤胞まで育ちやすくするためにできる「改善策」は?
A3:まず、専門クリニックで卵巣予備能(AMH値・卵胞数など)を検査することが大切です。
また、生活習慣の見直し(質の良い睡眠・適度な運動・栄養バランス)や、可能であれば培養環境の整った不妊治療施設を選ぶことも有効です。
さらに、治療プロトコルを「高齢者用」に調整している施設で相談することもおすすめです。
参考文献:The Ultimate Guide To IVF For Women Over 40
Q4:鍼灸や東洋医学で胚盤胞形成を助けることはできる?
A4:明確に「鍼灸だけで胚盤胞になる確率を上げる」とする科学的エビデンスは十分ではありませんが、ストレス軽減・血流改善・自律神経の整えなどの面では補助的に役立つ可能性があります。
不妊治療の一環として「身体を整える」目的で鍼灸を取り入れる場合は、主治医と連携しながら行うのが安全です。※ここは“可能性”の話であり、確証はありません。
関連記事:採卵数と胚盤胞になる確率(20代、30代、40代)
Q5:胚盤胞まで育たないとき、次に考えるべき選択肢は?
A5:もし複数回の採卵・培養で胚盤胞にならない場合、
- 卵子提供(ドナー卵)を検討する
- 培養日数や培養方法(胚盤胞まで延長・モニタリング強化)を変える
- 遺伝子検査(PGT‑Aなど)を検討する
などが選択肢となります。年齢による影響が大きいため、早めに「次の一手」を専門医と相談することが大切です。
関連記事:PGT-A(着床前診断検査)について
関連記事:妊活における【体質改善の期間】
【まとめ】胚盤胞まで育たない原因と改善
胚盤胞とは、受精後5~6日目まで発育した胚のことで、着床や妊娠へと進むための重要なステージです。
しかし、受精卵が胚盤胞まで育たないケースも多く、その原因は加齢による卵子・精子の質の低下、染色体異常、生活習慣、体内環境など多岐にわたります。
30代での胚盤胞到達率は約40%、40代では約20%とされ、高齢になるほど成功率は下がります。また、子宮筋腫や内膜症など婦人科系疾患が妊娠の妨げになることも。
食生活、睡眠、ストレス管理など、生活の見直しは胚の発育環境を整える一歩です。
特に、卵胞を育てるには、タンパク質、ビタミンD、オメガ3脂肪酸の摂取が推奨されます。正しい情報と前向きな姿勢で、自分にできることから取り組んでいきましょう。
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執筆者:はり師きゅう師
ぽん鍼灸院 代表 成実勇樹

約25年前より東洋医学の世界に入り、経路治療家のもとで現場研修を含め技術を学び、2008年に大阪府豊中市に「ぽん鍼灸院」を開業。
その場しのぎではなく、根本から治す事ができる。本当に苦しい時に治せる技術は東洋医学なんだ。と、その教えは、今の私の技術の基盤となっています。
長年経験していた自身の不妊治療をもとに「困っている人の為に役に立ちたい。」そういった気持ちで対応させていただいております。
「これからできることは何でもしたい!」という方は、ぜひご相談ください。












