不妊と酸化ストレス

2022年11月29日

酸化ストレスとは?

不妊検査の一つに、「抗酸化力・酸化ストレステスト」というものがあり、不妊症の患者さんは、「抗酸化力は正常なのに、酸化ストレスが増大している」というケースがあります。

酸化ストレス、とは一体どういうものなのでしょう?

活性酸素が増えすぎて抑え切れなくなっている状態を「酸化ストレス」と言います。

呼吸によって体内に取り込まれた酸素の一部は、「活性酸素」という物質に変わります。

活性酸素には免疫機能があり、細菌やウィルスなどを退治する役割を果たしているのですが、一方で強い酸化作用があるため、元気な細胞にダメージを与えてしまいます

それを抑えるのが「抗酸化力」です。しかし活性酸素が増えすぎて抑えきれなくなってしまうとバランスが崩れてしまいます。この状態が酸化ストレスなのです。

なぜ活性酸素が増えるのでしょう?

  • 太陽の紫外線(太陽の光に含まれる紫外線には、活性酸素を作り出す作用があります)
  • 喫煙(タバコの煙に含まれる有害物質は、活性酸素を発生させます)
  • 激しい運動(適度であれば問題ありませんが、やりすぎると余計な活性酸素を発生させてしまいます)

活性酸素が増えて、酸化ストレスが溜まっていくと…?

免疫機能のある活性酸素ですが、同時に細胞や組織にダメージを与えるため、量が増えすぎるとかえって免疫力は低下します。

すると、身体を守る抗体が作られやすくなります。

抗体には卵子の発育を邪魔したり、妊娠初期には胎のうの血流を妨げて、流産を引き起こすものもあり不妊に繋がります。

また、自律神経のバランスも崩れ、その他の婦人科疾病にかかりやすくもなります。

 

活性酸素を増やさないためには?

生活習慣(バランスの取れた食事、適度な運動、十分な睡眠)を整える

活性酸素を増やさないためには、日常的にバランスの取れた食事と、適度な運動と十分な睡眠を取り、生活習慣を整えることが大切です。

活性酸素の抑制に効果のある食べ物は、

  • ビタミンA(ニンジン、ほうれん草等の緑黄色野菜、レバー、乳製品)
  • ビタミンC(じゃがいも、さつまいも、オレンジ、イチゴ、メロン等)
  • ビタミンE(食物油、ナッツ類等)
  • ポリフェノール(ブルーベリー、緑茶、紅茶等)
  • カロテノイド(柿、スイカ、とうもろこし、ワカメ等の海藻類、えび・カニ等の甲殻類)

そして、ウォーキングなどの有酸素運動、7時間前後の睡眠、禁煙、紫外線を避ける等、
日ごろから少しずつ気をつけてみましょう。

酸化ストレスを増やさずに、若々しく

酸化ストレスには、身体の老化を進ませる作用があり、シミやシワ、白髪が増えたり、集中力の低下、疲れやすいといったことを引き起こします。

同じ年頃でも若々しい人や実際の年齢より年を取って見える人の違いは、酸化ストレスの度合いの違いかもしれません。

抗酸化力のピークは20代で、その後、徐々に低下していきます。いつまでも若々しくいられるように酸化ストレスは増やしたくないですね。

その他にも、ガンや生活習慣病を引き起こす可能性もありますので、酸化ストレスを溜めないよう、普段の生活から改善していきましょう。

 

 

笑いながら妊活をしよう!

2022年11月8日

【笑う】と体が元気になる!

当院では「ストレスを溜めないように、楽しいことをしましょう!」と、日頃よくお話をしています。

笑うと体が元気になることは、実は科学的にも証明されています。

NK(ナチュラル・キラー)細胞とは?

皆さん一度は聞いたことがあるのではないでしょうか。

NK細胞とは、白血球の一種で、直訳すると『生まれながらの殺し屋』という恐ろしい名前になります。

全身をパトロールしながら、がん細胞やウイルス感染細胞などを見つけて攻撃するリンパ球の一種です。

リンパ球の10%~30%を占め、自分以外の細胞を殺してしまうほどの高い攻撃力を持つ細胞です。これは生まれながらに備わっている体の防衛機能です。

しかし、NK細胞は、がん等の悪い細胞を選んで攻撃するのではなく、以前に出会ったことがないような新しい細胞を攻撃することもあるため、

この細胞が強すぎると、妊娠を体の異常事態と察知して、赤ちゃんを攻撃してしまい、着床不全や流産の原因になるケースがあります。

強すぎても困る

NK細胞は、体を守ってくれるとても頼もしいNK細胞ですが、強すぎても困ります…。

NK細胞を適性に保つには、一体どうすれば良いのでしょうか。

それはズバリ、「笑う」こと!

吉本興業の「なんばグランド花月」で20歳~62歳の方を対象に、漫才・吉本新喜劇を鑑賞してもらい、

その後、採血で血中のNK細胞や免疫システムのバランス力を調べたところ、どちらも基準値より低い人は数値が上昇し、初めから高い人は正常値あるいはその方向へと低下するという傾向が報告されています。

「笑い」による刺激が、NK細胞を活発にさせるためです。笑うことには、自然免疫力を高める効果が証明されているのです。

ストレスが不妊の原因に…

100年以上前から、不安・悲しみ・怒りという感情が、流産を繰り返すことと密接な関係があることは分かっていました。

そして1954年に不育症の世界最初の論文「ストレスと習慣流産」が発表されました。

その後、ストレスの低下が不育症治療の成功率を上げたという例が、世界中から報告されていています。

ストレスだけが不育症の原因とは言えませんが、免疫異常やホルモンバランス異常を引き起こし、不育症・不妊症の原因の一つとなることは明らかなのです。

毎日どれくらい笑っていますか?

ストレスを全て無くす、というのはなかなか難しいことですが、「笑う」ことはNK細胞を増やして元気な体を作る近道です。

悩んだり凹んだり、しんどいなぁと気持ちが塞ぎ込みそうな時は、家族や友達と楽しくお喋りしましょう。

美味しい物を食べてにっこりしたり、バラエティ番組や漫才、コントなどを見て爆笑したり、何か自分に合った方法で、笑って過ごす時間をたくさん作ってみましょう。