着床しやすい寝方(体勢)はあるの?子宮後屈はうつぶせ寝が良い?
2024年03月20日

「体を冷やさないように」「ジャンプはしないで」「仰向けがいいらしいよ」——胚移植後、妊娠を心から願う方にとっては、ほんの少しの情報でも気になってしまうものですよね。
特に、寝るときの体勢について「これでいいのかな?」と不安になる方も多いのではないでしょうか。
何気ない“寝方”一つでも、着床の可能性を左右してしまうかもと思うと、眠ることさえ緊張してしまう……。そんな気持ち、よくわかります。
この記事では、実際に多くの方から寄せられる「着床しやすい寝方」について、医学的な視点やリアルな体験談を交えながら、妊活・体外受精後の過ごし方として何が本当に大切なのかをお伝えします。
着床しやすい寝方(体勢)はあるの? ~胚移植後など~
【よくある質問】~着床しやすい寝方(体勢)~
このような質問をよく頂きます。
- 体外受精の胚移植後に着床率を上げる方法
- 体外受精の胚移植後の過ごし方
- 着床まで気をつけること
その他にも、寝方や体勢に関してもよく聞かれます。
胚移植後の寝方や体勢についてのデータ
皆さんは、着床しやすくするために胚移植後の「寝方や体勢(姿勢)」をおすすめする記事や情報を耳にしたことはないでしょうか?
実は、着床しやすくするための、胚移植後の寝方や体勢を裏付ける研究データというのは見当たらず、関係があると言えないのが現状です。
→体験談:
「胚移植後はずっと仰向けが良いって聞いて、ベッドの上で身動き一つ取らずに2時間耐えました(笑)。でも、あとから先生に『体勢よりリラックスが大事ですよ』と言われて、ちょっと肩の力が抜けました」(33歳・初めての胚移植)
『子宮後屈』は、うつぶせ寝が妊娠しやすい?
子宮後屈と妊娠
しかし、全体の約2割の女性が生まれつき通常よりも子宮が後ろに傾いた状態の『子宮後屈』であり、子宮後屈は精子が子宮内へ進入しづらく、受精卵の着床を妨げる可能性があるので妊娠しにくいと言われています。
その場合、性行為後にしばらくうつぶせ寝になることで、精子の進入を促すことがあるため、妊娠しやすくなる場合があるとも言われています。
うつ伏せが良い理由
子宮後屈の場合、精子が上手く子宮内に入って卵子と受精しても、受精卵が長く子宮内に溜まれずに滑ったり落ちてしまうリスクが高いです。
なので、うつぶせ寝をすることで、背中側に傾いた子宮口にある窪みに溜まった精子が、子宮内へ入り込む可能性が高まるからです。
※朝までうつぶせ寝をする必要はありません。少しでも可能性があるかもしれないと、性行為後に15分程度うつぶせ寝をしてみて下さい。
着床(妊娠)しやすいのは、寝方ではなく【睡眠不足】が影響する
着床しやすさに寝方、体勢(姿勢)はそこまで大きく影響はないですが、睡眠不足が影響するという研究データはいくつも発表されています。
女性ホルモンと自律神経の関係
女性ホルモンは、エストロゲン(卵胞ホルモン)とプロゲステロン(黄体ホルモン)の2つに分けられます。
エストロゲンは子宮内膜を厚くして妊娠に備え、プロゲステロンは基礎体温を上げ着床しやすいように子宮内膜を安定させます。
自律神経と女性ホルモンの分泌は、どちらも視床下部と脳下垂体によってコントロールされているため、それぞれ影響を及ぼし合っています。
睡眠不足は女性ホルモンが乱れる
睡眠不足が続くと、交感神経優位の時間が長くなります。副交感神経への切り替えがうまく働かなくなってしまい、自律神経が乱れます。
なので、睡眠不足だと自律神経が乱れ、自律神経が乱れてしまうと女性ホルモンのバランスも乱れてしまいます。その結果、着床しにくい状態になってしまうというわけです。
また、自分に合った睡眠のサイクルが大切です。
→体験談:
「夜型生活が続いていた時期、ホルモン検査で『プロゲステロン値が低いですね』と指摘されてショックでした。そこから睡眠改善を意識して早寝を徹底したら、次の周期には子宮内膜の厚さが安定してきたんです」(35歳・妊活2年目)
メラトニン減少は不妊に影響が出る
他にも睡眠不足はメラトニンの分泌を減少させます。メラトニンは、呼吸や脈拍、血圧を安定させ深い眠りへ導く作用や抗酸化作用があると言われています。
またメラトニンが減少すると、卵子を酸化・老化から守る力が弱くなり、不妊を長引かせる可能性も高くなります。
十分な睡眠をとる事は、酸化ストレスを防ぎホルモンバランスを整えます。
※酸化ストレス…カラダの細胞をサビつかせること。
暴飲暴食、酒、タバコ、紫外線など、私たちは生活の中で「酸化ストレス」を受けています。
この酸化ストレスは、体内で発生すると周りの細胞を攻撃して細胞を傷つけます。卵子の細胞が傷つけられたば、不妊の原因になる可能性も高くなります。
【まとめ】着床しやすい寝方(体勢)はあるの?子宮後屈はうつぶせ寝が良い?
着床(妊娠)しやすいのは、寝方ではなく【睡眠不足】がポイント!
睡眠不足だと自律神経が乱れ、自律神経が乱れてしまうと女性ホルモンのバランスも乱れてしまいます。その結果、着床しにくい状態になってしまうというわけです。
以上のことから、着床しやすい寝方・体勢(姿勢)があるというよりも、睡眠不足を防いで良質な睡眠をとるために、リラックスして寝るということが大切になります。
子宮後屈の場合
子宮後屈は精子が子宮内へ進入しづらく、受精卵の着床を妨げる可能性があるので妊娠しにくいと言われています。
その場合、性行為後にしばらくうつぶせ寝になることで、精子の進入を促すことがあるため、妊娠しやすくなる場合があるとも言われています。
子宮後屈の場合には、性行為後に15分程度うつぶせ寝がベター。
今回の記事で、少しでも着床率を上げるためのきっかけになれたら嬉しいです。体外受精の移植後の過ごし方に参考にしてみて下さい。